ニッケルめっき
(光沢・無光沢ニッケルめっき)
ニッケルめっきとは?
ニッケルめっきとは、空気や湿気に対して鉄よりはるかに安定だが、長期間放置ではわずかに変色するため上層にクロムめっきを施す装飾クロムめっき(銅-ニッケル-クロム)や貴金属めっき(金めっき、銀めっき等)の中間層めっきとして多く用いられています。 この中間層めっきでは無光沢ニッケルや光沢ニッケルという析出構造/組成の異なる皮膜の組合せ(例:ダブルニッケルめっき=下地銅めっき→無光沢ニッケルめっき→光沢ニッケルめっき→装飾クロムめっき等:下記図参照)で単独皮膜では果たせなかった耐食性向上が更に図れる事から各種めっきの中間層めっきとして幅広く用いられ、「縁の下の力持ち」的めっき皮膜と言えます。 また、無光沢ニッケルめっき/光沢ニッケルめっきはそれぞれの物性(硬度や柔軟性等)を利用し工業用途でも活躍する皮膜であり、密度が高く、ピンホールが比較的少なく、融点が高い等の特性から金属同士の拡散防止膜としても利用されます。(例:スズめっき皮膜からのウィスカー防止のための中間層ニッケルめっき。発生要因の一つである銅-スズ(Cu6Sn5)拡散層生成防止膜としても利用されています。) ニッケルめっき単独でも使用用途は多岐にわたり、自動車外装部品(美観+耐食性能)や端子・コネクタ等へ美観+耐食性能等の特性を付与します。
ニッケルめっきの工業利用を分類すると別表のようになる。
ワット浴からの半光沢ニッケルめっき、または無光沢ニッケルめっきは、さまざまな工業用めっきの下地めっきとして、もっとも広範囲に利用されているといえよう。
たとえばコネクタやスイッチ、端子など、金めっきや錫めっき、ロジウムめっきなどが施される電子部品では例外なく、下地に7μm程度のニッケルめっきが施されていて、素地との密着性を高めたり、耐食性を付与したりしている。半導体リードフレームの場合でも同様である。
とくにステンレスやコバールなどの特殊鋼へのめっきでは、下地に0.1~0.3μm程度のニッケルストライクめっきを行なうと、密着力は格段に向上し、サーマルショック試験(-60℃~+150℃の繰り返し試験)でもビクともしない事例も報告されている。
また光沢剤をまったく使用しない無光沢(純)ニッケルめっきは高純度で延性に富む皮膜が得られ、はんだ付け性も良好である。
別表に各種ニッケルめっきの性能をまとめた。
●エ業利用の形態
めっき浴の種類
工業用利用の形態
電気めっき
ワット浴
素地との密着性を向上させ、また耐食性を付与するなど、 各種工業用めっきの下地めっきとしての役割(0.1μm程 度のストライクめっきから20~30μmの中間めっきまで)。半導体部品のステムやキャップなどに、ろう付け性、 溶接性、ボンディング性を付与するめっきとしての役割。
スルファミン酸浴
一般に超厚付けめっきとして再生部品の肉盛り用に利用されている。また電鋳浴としても、レコードスタンパー や各種成型用金型、金属ベローズなどの製作には不可欠 の役割を果たしている。
無電解めっき浴
ニッケルーリン、ニッケルーボロンなどの合金めっきが得られる。複雑な形状にも均一な膜厚でめっきできるため、 精度を要求される部品に多用される。硬度も高く、耐食 性にもすぐれている。電気的特性も良好である。
特殊なめっき
分散ニッケルめっき
複合めっきとも称される。ニッケル皮膜中に、セラミックスなどの微細粒子を分散させためっきで、耐摩耗性の 向上、潤滑性の向上、カラー化などが実現できる。
ニッケルーカドミウム拡散めっき
ニッケルめっき上にカドミウムめっきを行ない、300℃で熱処理してニッケルとカドミウムを拡散させためっきである。約500℃くらいの高温にも耐え、塩分に対する耐食性も良好で、ジェットエンジン部品に利用されている。
●各種ニッケルめっきの性能比較
性能\外観・浴の種類
無光沢
半光沢ワット浴
光沢ワット浴
ワット浴
スミルファン酸浴
硬度(Hv
150~180
170~180
200~400
500~600
延性(%)
20~30
5~6
~10
~5
応力(Kg/mm
2
)
12~20
5~6
100~110
100~110
引っぱり強度(Kg/mm
2
)
~50
~50
100~110
100~110
ハンダ付け性(相対評価)
○
○
○
○
30秒後に自動的に次工程、変わります。
株式会社 小西鍍金
〒940-2022 新潟県長岡市鉄工町2-1-20
TEL: (0258)27-1746 FAX: (0258)27-4736